軽部学長のキラットひらめきコラム

第2回「大学をあげて取り組む先端的研究(2) ――革新的工業材料の開発」

 こんにちは、学長の軽部です。前回、本学では大学を挙げて2つの大きな研究に取り組んでおり、そのひとつが人工知能(AI)研究だとお話ししました。今回は、もうひとつの研究「革新的工業材料の開発」について取り上げます。

 現在、本学では関連企業、内閣府、経済産業省の支援のもとに、航空機に利用できる革新的な工業用材料の研究開発を進めています。具体的には、航空機のエンジンに使用できる最先端材料である「セラミックス複合材料」を開発しようというものです。
背景からお話しすると、今、航空業界はLCCと呼ばれる格安航空会社が世界中にできたことで、航空機不足に直面しています。また、大手航空会社はもちろん、低価格で運航するLCCにとっては特に、航空機の燃費をどれだけ良くするかが重要な課題になっています。そこで航空機エンジンの部材を重い耐熱合金から軽い耐熱材料であるセラミックス複合材料にすることで軽量化を図り、燃費を良くしようという研究が本学で始まっています。

 この一大研究プロジェクトを推進するために、本学では「セラミックス複合材料センター」を開設し、そこを拠点として複合材料の専門家である香川豊教授を中心に、学内はもとより国、航空機のエンジンや機体を手がける国内外の企業やセラミックス材料をつくる企業らと一緒に研究開発を進めていきます。もちろん、この最先端研究には学部生や大学院生にも関わってもらいますから、学生たちが世界の最先端の研究に触れることを通して大きな刺激を受けられることは間違いありません。
また、この研究には、前回お話しした本学のAI研究会に属する「革新材料AI分科会」の10名ほどの先生方が参加予定です。AIを使うことで、例えば材料の組み合わせによる耐熱性や耐久性の変化をデータベース化することができますし、それらのデータが蓄積すると「この材料をこう加工すれば、こういうものができる」とAIが回答してくれるようになり、開発の方向性を絞った効率のよい開発研究ができるようになる可能性があります。
というのも新材料の開発は、予測が難しく、リスクが高いからです。例えば、鉄は人類が使い始めて1000年以上経ちますから、ある程度、その性能が知られていると言えます。ところが飛行機にアルミニウム合金を使うようになってからは、まだ100年ほどですから、わかっていないことも多いのです。同様に新しい材料というのは、優れた部分がある一方で、長年使うと何が起こるのかがわからないため、セラミックス複合材料の性能や安全性を予測し保証しなければなりません。その部分をAIに任せることで、研究をより前進させられるだろうと考えられるのです。

 このように東京工科大学では、学内の研究から生まれた技術と英知を結集させ、学外とも連携しながら、先端的研究を力強く進めていきます。今後、研究成果を随時、発信していきますので、どうぞお楽しみに。また、皆さんが本学に入学したあかつきには、ぜひこれらの研究に加わり、世界を驚かせるような新しいものを生み出す一員となってください。

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