「研究力、応用生物学部」応用生物学部長 梶原 一人 教授

 受験生の皆さんこんにちは
応用生物学部長の梶原です。
受験勉強も追い込みを迎えていることと思います。無理して体調を崩さぬよう十分気を付けて下さい。本学に合格されることを願っています。

 東京工科大学は、時代の最先端を常にキャッチして進化を遂げてきました。
特に応用生物学部は生命科学の進歩と共に、農学部とは異なった方向から研究し、その成果を社会に還元することを目標にしています。

 応用生物学部の研究力について2016年度にプレスリリースした3つの研究を中心にお話します。
 一つ目はタンパク質医薬品として期待されるラクトフェリン融合タンパク質、二つ目は塩基のメチル化に注目した簡便がん診断、三つ目は人工知能(AI)を使い、相互に関係する遺伝子や機能をデータベースから自動的に見つける方法の開発についてです。
詳しくは大学ホームページのプレスリリースをご覧ください。

 乳などに含まれるラクトフェリンは(LF)は、抗腫瘍、抗炎症、抗酸化などの様々な生理活性を示すタンパク質として知られています。
すでにウシ由来のLFはサプリメント(健康食品)として使用されており、多くの健康増進作用が報告されています。ラクトフェリンのようなタンパク質医薬品は、体内で安定性が低く、十分な効果が得られないという問題がありました。
 この問題を解決する手法として、タンパク質医薬品を抗体の一部であるIgGFcと融合させる技術がすでに知られており、実際に臨床で使用されています。
 しかしこの技術では、免疫において外敵を排除する機能を持つ抗体の一部を使用することから、免疫の活性化を介して副作用をもたらします。
 そこで、免疫細胞の活性化を消失させる目的で、ヒト抗体の一部の配列を欠失させたIgGFcを作製し、これを用いたヒトFLとの融合タンパク質の作製に成功しました。この融合タンパク質は、血液中で安定性が大幅に向上し、副作用となる免疫細胞の活性化を示さないことが確認されました。

 ヒトゲノム中の塩基シトシンのメチル化は、遺伝子の発現を制御する「遺伝子スイッチ」としての働きを持っており、がん細胞ではこの遺伝子スイッチが異常になっていることが確認されています。
 このスイッチの異常、すなわちがん関連遺伝子のメチル化頻度は、がんのバイオマーカーとして期待されています。
従来は煩雑な操作が必要であったDNAメチル化頻度の測定を簡便に行える方法を開発しました。
通常、DNAは二重らせん構造を形成しますが、特定の配列を持つDNAは四重鎖構造を形成します。四重鎖DNAがメチル化されると、それをPCRで増幅させた場合、PCR増幅効率が減少することを発見しました。
 実際にヒトゲノムを対象として、がん関連遺伝子であるVEGF-A中の四重鎖領域の増幅効率を、リアルタイムPCR法により測定した結果、メチル化頻度に依存して減少することがわかりました。
 すなわち、この方法で標的がん関連遺伝子のメチル化頻度を簡便に測定できます。従来よりも簡便にがん関連遺伝子のメチル化頻度を測定できるため、がんの簡易診断への応用が期待されます。
 また、DNAメチル化の異常はがんだけでなく生活習慣病やうつ病の発症にも関連しているため、それら疾患の簡易診断への応用も期待されます。

 人工知能(AI)を使い、相互に関係する遺伝子や機能をデータベースから自動的に見つける方法を開発しました。
生命現象を理解する上で重要な遺伝子がもつ機能の情報は、公共データベースに蓄えられ、世界中の研究者に利用されています。
 本来、生命現象は相互に繋がっているものですが、遺伝子の機能情報は別々に書かれており、それらの中に特別な関係があるかはこれまで解明されていませんでした。
こうしたデータベース上の機能情報を「機械学習」させる人工知能技術によって、それらの間に隠れている相互関係を見つけることが出来ました。
 ヒト遺伝子の機能情報をデータベースから収集し、ある特定の機能を持った遺伝子の多さなどの統計的情報を「非負値行列因子分解」という方法で総合的に解析しました。
その結果、遺伝子や機能情報の間に、書かれていなかった新たな相互関係を見つけることに成功しました。
生命の実験的研究によって蓄積された大量のデータを処理することで、その中に隠れていた関係を取り出せることが明らかになりました。
 この仕組みを用いることで、AIが遺伝子の相互関係を自動的に探しだし、利用者が次に調べそうなことを先取りして解説するなど、さまざまな情報処理が高度になることが期待されます。

 このように応用生物学部では生命科学、環境、医薬品、食品、化粧品の各分野で活発に研究が進められています。
 また、研究施設としてバイオナノテクセンターに代表される他を圧倒する教育・研究環境と産学連携による優れた研究成果が社会から評価され、年々受験者数と倍率も向上しており、昨年度の卒業生は大学院への進学はもちろん、大手化粧品、食品、化学関連会社等を中心に95%を超える高い就職実績を残しています。
 また、それぞれの分野で、生活に密着したバイオテクノロジーの応用と研究成果の社会還元、社会で活躍できる人材育成を目指してきました。

 受験生の皆さん、新たな世界を切り開くバイオテクノロジーを駆使し、社会に役立ち、喜ばれる研究成果を、私達と一緒に創り出していきましょう。
皆さんの入学をお待ちしています。

■応用生物学部

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